甲状腺機能低下症
2016.10.15
【原因】 甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンが分泌されなくなることによって
様々な症状が現れます。
ただ、詳しい原因は分かっていません。
【発症】 2〜6歳の中年齢の犬で多くみられます。
猫ではほとんどみられません。
好発犬種は、
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、などの大型犬や、
アフガン・ハウンド、ビーグル、ボクサー、チャウチャウ、コッカースパニエル
などです。
【症状】 主な症状として以下のようなものがあります。
・嗜眠(なんとなく元気がなく寝てばかりいる。)
・体重増加(食べる量は変わっていないのに、体重が増える。)
・脱毛(痒みを伴わない。しばしば左右対称性の脱毛。)
・色素沈着(地肌が黒くなる。)
・脂漏症(被毛が脂っぽくなる。)
・ラットテール(尻尾の毛が全て抜けてしまって、ネズミのしっぽのようになる。)
・耐寒性の低下(特に寒い地方では低体温に注意。)
・徐脈 など。
また、元気がなくて(無気力・倦怠感)、皮膚がたるんでくるため、
しばしば悲しそうな表情に見えるようになります。
更に、細菌感染などによる皮膚病が治りにくくなることがあります。
低体温や『粘液水腫性昏睡』とよばれる重篤な状態になった場合は、
命にかかわることがあります。
【診断】 ・血液検査(高脂血症、軽度の貧血がみられる。)
・ホルモン検査(甲状腺ホルモン濃度の値を確認する。)
【治療】 不足している甲状腺ホルモンを補ってあげることで、
すぐに元気が良くなることが多いでしょう。
しかし、脱毛などの皮膚の症状が改善するのには、
時間がかかることが多いです。
壊れてしまった甲状腺を元に戻すことはできないため、
生涯にわたる投薬治療が必要になります。
【最後に】 甲状腺機能低下症は、症状がかなりゆっくりと進行するため、
変化に気がつかないことも珍しくありません。
適切に甲状腺ホルモンの投薬が行われていれば、
予後は良好です。
なんとなく元気がない、体の毛が薄くなってきた、
などの変化に気がついたら、早めにご相談下さい。