猫の慢性腎臓病について│15歳以上の猫の約8割がかかる
2023.11.24
腎臓は尿を生成し、老廃物など体に不要なものを体外へ排出したり、赤血球を造ったりなど重要な役割を担っています。
慢性腎臓病は、『慢性腎不全』とも呼ばれ、長期間かけて腎臓の機能が低下する病態で、高齢の猫で非常に多くみられます。
今回は、猫の慢性腎臓病について解説します。
腎臓病についてこちらの記事でも紹介しています。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法や飼い主が気を付けるべき点
6.まとめ
原因
腎不全とは、何らかの要因(細菌やウイルス、薬物などによる中毒など)により腎臓が十分に機能できなくなる状態を指します。
腎不全には、急性と慢性の2種類があり、急性は短期間で腎機能が大きく低下する病態で、一方、慢性は長期間(3ヶ月以上)かけて徐々に腎機能が低下する病態です。
慢性腎臓病は、加齢に伴い発症するため、高齢の猫で多くみられ、15歳以上の猫の約8割が罹患しているという報告もあります。
症状
慢性腎臓病の初期には明らかな症状はみられません。
しかし、腎臓の機能が徐々に低下すると、尿の濃度を調節できなくなり、水分が尿として過剰に出ていくようになります。そのため、喉が渇きたくさん水を飲む(多飲多尿)ようになり、尿が増え、尿の色も薄くなるといった症状がみられます。
腎臓は老廃物など体に不要なものを体外へ排出する機能も担っています。しかし、腎不全ではこの機能が低下し、排泄できない老廃物が体に蓄積することで、『尿毒症』と呼ばれる状態となり、食欲低下、嘔吐、下痢、体重の減少などの症状がみられるようになります。
診断方法
症状や尿検査、血液検査、超音波検査などから総合的に判断し、診断を下します。
また、腎不全と診断されたら、治療の方針を決定するため、血液検査の値、尿の状態、血圧の数値などから、病気がどの程度進行しているのかステージの分類を行います。
治療方法
慢性腎臓病により破壊された腎臓の組織は治療により再生することが出来ません。そのため、治療は血液中の老廃物や毒素を体内にためないようにすることや、病気の進行を遅らせることが目的です。
合わせて、タンパク質やリンの含有が少ない療法食を与える食事療法や、脱炭剤、リン吸着剤の投与、などの治療を行う場合があります。
予防方法や飼い主が気負付けるべき点
慢性腎臓病は初期症状が現れづらいため、日頃から愛猫の尿量や飲水量をチェックすることにより、病気の発見を早めることができます。
1日当たりの排尿の回数をチェックしたり、水の食器を目盛り付きにするなど工夫をし、尿量や飲水量の増加に早く気が付けるよう心がけましょう。
また、脱水は腎臓に負担をかける要因の一つとなるため、水飲み場を複数箇所に設置したり、水分が多く含まれたウェットフードに変更するなど、出来るだけ水分が摂取できる状態にしましょう。
まとめ
慢性腎臓病は、初期では症状が現れないため、気付いた時には重症になってしまっていることもあります。
元気そうに見えても、早期発見・早期治療のために定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
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