犬の気管虚脱
2019.01.20
犬の気管虚脱
気管虚脱は、気管が潰れてしまい様々な呼吸器症状がみられる病気です。
通常は中年から高齢に発生する後天的疾患で、小型犬により多くみられます。
(先天的な病変として、若齢でみられることもあります。)
詳しい原因は不明ですが、以下のものが誘発要因として挙げられます。
・遺伝的な素因
・高温多湿などの環境的因子
・リードでの強い牽引などによる外方からの圧迫
・吠えすぎなどによる気道内圧の上昇
・肥満 など。
好発犬種 ヨークシャ・テリア、ポメラニアン
チワワ、トイ・プードル、マルチーズ など。
初期では、空咳とよばれる「カッカッ」「ケッケッ」と聞こえる乾いた咳が単発でみられます。
徐々に連続性となり、長い発咳の後に「カーッ」と
痰を吐くような仕草をするようになります。
更に感染を伴うと、気道内に分泌物が貯留して湿性の発咳がみられるようになります。
発作的な発咳が繰り返されると重度になり、強く虚脱した気管(つぶれた気管)のため
呼吸困難を引き起こすようになります。
特に興奮したときには「ガーガーガー」などのガチョウが鳴くような大音量の咳・呼吸音が
きこえるようになります。
また、呼吸困難がひどい場合には
「ヒィーヒィー」「ゼーゼー」といった喘鳴音がきこえるようになり
チアノーゼ(舌が青紫色になる)をきたして非常に苦しい状態となります。
症状のないまま進行して気付いたときには重度であることもよくみられるので
軽い咳でも注意が必要です。
一般身体検査
呼吸様式
聴診(狭くなった気管を通る音が聞こえる)
レントゲン検査
呼気時・吸気時の撮影により、つぶれた気管がみられる。
つぶれてしまった気管は内服で元に戻すことはできませんが、
進行をとめる、もしくは緩やかにする・症状を緩和する・
急性の呼吸困難を改善するなどの目的のために症状が出たら早めに内科的治療をはじめます。
※繰り返しになりますが、症状が出始めたら、
“今は軽いし苦しそうでもないからいいかな”
ではなく、重度にさせないために早めに内服を始めることが重要です。
(内科的治療に反応せず生命維持に関わるような呼吸困難をきたす場合
やむを得ず外科的治療が必要となる場合もありますが、
手術方法は確立されたものがなく、再発や悪化などのリスクを伴います。)
・高温多湿に気をつける
・強い乾燥に注意する
・散歩を首輪から胴輪にかえる
・リードを強く引かない、過度に興奮させない など。