猫がかゆくて掻きむしる!|猫のノミアレルギー性皮膚炎について
2024.07.10
猫がかゆくて掻きむしる!|猫のノミアレルギー性皮膚炎について
猫のノミアレルギー性皮膚炎は外で生活している猫だけでなく、室内飼育の猫にも見られる病気です。
この病気は、ノミに刺された際にノミの唾液が猫の皮膚に侵入することでアレルギー反応が起こり、強いかゆみが生じます。
ノミアレルギー性皮膚炎は症状が改善されたとしても、繰り返し現れることがあるため、原因を特定し、それに基づいた適切な治療を行うことが重要です。
今回は猫のノミアレルギー性皮膚炎について、症状や治療方法、予防法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
アレルギー性皮膚炎の原因は、大きく3つに分類されます。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミが吸血する際に付着するノミの唾液が、アレルゲンとして作用し、皮膚にかゆみや炎症を引き起こします。皮膚の表面には、ノミやノミの糞である黒い小さな点が見られることがあります。
食物アレルギー性皮膚炎
食物中の成分がアレルゲンとなり、皮膚にかゆみや炎症を引き起こします。
環境性アレルギー
ハウスダストやカビ、花粉など周囲の環境により引き起こされます。
ノミアレルギー性皮膚炎では、主に以下のような症状が見られます。
・赤み
・激しいかゆみ
・脱毛
・小さな発疹(粟粒性皮膚炎)
・好酸球性肉芽腫 など
特に尻尾の付け根から背中にかけて症状が現れやすく、かゆみや皮膚の病変が起こることがあります。
さらに症状が悪化すると、ノミの吸血により貧血を引き起こすこともあります。
ノミアレルギー性皮膚炎の診断ではまず問診を行い、いつから症状が現れているのか、かゆみの程度などを飼い主様から伺います。
その後、以下のような検査を行います。
ノミ取り櫛検査
ノミ採り用の細かいコームを使用し、ノミやノミの糞を探します。血を吸って栄養を得ているノミの糞は、水に濡らすと赤黒くにじみます。
血液検査(アレルゲン特異的IgE検査)
血液検査でノミ唾液抗原に対して陽性反応が出た場合、以前にノミに刺されたことがある可能性が高いと考えられます。しかし、血液検査だけでは原因を明確に特定することはできません。
ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、抗アレルギー薬やノミ駆除薬の投与、抗菌剤(2次的に細菌感染が見られる場合)を用いて行います。
かゆみが強い場合は、抗炎症効果のあるステロイドの使用を検討することもありますが、それを使用することにより症状を悪化させてしまうことがあります。そのため、診断の方向性が確定するまでは、ステロイドの使用を避けることが理想的です。
また、症状に応じて塗り薬を処方することもありますが、猫が薬を塗った部分を気にして舐めたり引っかいたりすることで、症状が悪化することがあるため、塗り薬の使用には注意が必要です。
ノミアレルギー性皮膚炎の予防には、徹底したノミ予防を行うことが重要です。
ご家庭では、アレルゲンの蓄積を防ぐために定期的な掃除を行い、空気清浄機を使用し、生活環境を整えることが大切です。
ノミアレルギー性皮膚炎は、一度発症すると完全に治癒するのが難しく、犬や猫の生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。
また、ノミに継続的に刺されることで発症しやすくなるため、特にノミの活動が活発的になる春から秋にかけては、しっかりノミ予防を行うことが大切です。
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