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犬と猫の糖尿病について┃体重が減ったり、飲水量が増えたりしたら注意

2023.12.07

糖尿病とは、膵臓から分泌される「インスリン」という血糖値を下げる働きを持つホルモンが不足したり、作用が低下することによって血液中の糖が増えてしまう病気のことです。細胞内に取り込めなかった糖分が尿中に含まれて排泄されるため、「糖尿病」と呼ばれます。


今回は、犬と猫の糖尿病の原因や症状、診断・治療法などについて解説します。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

犬の糖尿病は、遺伝的要因や年齢、膵炎などが主な原因と考えられています。これは人のⅠ型糖尿病に似ているとされており、膵臓のインスリン産生細胞が破壊されることで生じます。犬では、このⅠ型に近い糖尿病がほとんどとされており、生涯にわたるインスリン投与が必要になることが多いです。

 

猫の糖尿病は、主に肥満や運動不足といった生活習慣が糖尿病の原因と考えられています。これは人のⅡ型糖尿病に似ているとされており、体がインスリンを適切に使用できず、細胞がインスリンに反応できなくなります。猫では、このⅡ型に近い糖尿病が多く、適切な食事管理やダイエットを行うことで将来的にインスリン投与が不要となる可能性もあります


症状

糖尿病になると血液中の糖分量が高くなり、やがて尿中にも糖が混じるようになります。糖が尿に混じると尿の浸透圧が高くなるため、尿量が増えます (=多尿)。そのため、体内の水分量を保とうとして異常に喉が渇き、飲水量が増加します (=多飲)

 

どこから多飲・多尿なのか?測定方法についてこちらで詳しく解説しています

 

また、糖尿病になるとタンパク質も失われるため、体内に蓄えることができず食欲は増すのに痩せる症状もみられます。さらに糖尿病が進行すると、糖尿病性ケトアシドーシスという状態になり吐き気、嘔吐、昏睡がみられるなど、命に危険を及ぼす状況になることがあります。


診断方法

飼い主様への問診で、多飲多尿の徴候や食欲があるのに体重が減少しているなど、糖尿病の特徴的な症状がある場合は、糖尿病を第一に疑って以下の検査を行います。

 

血液検査
血液中の糖分 (グルコース)の高値がみられます。
また、血液中の中性脂肪やコレステロールが高値となる高脂血症、低ナトリウム、高カリウムがみられることもあります。

 

尿検査
尿を採取して、尿中に糖分が含まれていないか (尿糖陽性)を確認します。

 

上記検査以外にも、全身状態の把握やインスリン抵抗性の原因となっている疾患を突き止めるために、レントゲン検査やエコー検査を実施することもあります。


治療方法

犬の糖尿病は体内のインスリンが絶対的に不足していることがほとんどであるため、毎日ご自宅でインスリンの注射を行っていただきます。

 

メスの犬は発情後に血糖値が高くなる「発情後高血糖」になることがあり、その場合は避妊手術も検討されます。また、適度な運動や適切な糖尿病の食事療法 (低脂肪、高繊維質)も重要となります。

 

猫の治療も同様に、インスリンの注射や自宅での運動、体重管理、適切な食事療法 (高タンパク、低炭水化物、高繊維質)が求められます。


予防法やご家庭での注意点

人の食べ物は犬や猫にとって、非常に高脂肪、高炭水化物のことが多いため少量を食べるだけで肥満の原因となり、急激な血糖値の上昇、膵炎に繋がることがあります。そのため、人の食べ物は絶対に食べさせないようにしましょう。

 

また、肥満は糖尿病の原因の一つであるため、日々の散歩や運動を行い肥満を予防することなどが重要です。また、半年から1年に1回は血液検査を含む健康診断を行い、糖尿病を予防、早期発見することを心がけましょう。


まとめ

繰り返しになりますが、糖尿病の予防で最も重要なことは適切な体重管理をすることです。ご自宅では犬や猫の飲水量やおしっこの量、体重などを注意深く観察し、異変を感じたら早めに動物病院を受診するようにしましょう。

 

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