犬の肢端舐性皮膚炎(指間炎)について|愛犬が足を舐め続ける
2024.11.05
犬の肢端舐性皮膚炎(指間炎)について|愛犬が足を舐め続ける
肢端舐性皮膚炎(指間炎)は、犬が前足や後足の指の間を過度に舐めることで引き起こされる皮膚炎です。この疾患は犬の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、知識を身につけておくことが重要です。
今回は犬の肢端舐性皮膚炎(指間炎)について、症状や治療方法、ご家庭での注意点などをご紹介します。
■目次
1.症状
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.ご家庭での注意点
6.まとめ
初期症状としては、足の指間に赤みが生じ、飼い主様が気づかないうちに進行することが多いです。症状が進行した場合、腫れや潰瘍、脱毛が見られ、さらに悪化すると、細菌感染が起こることがあります。好発部位は前肢が多いですが、後肢にも発生することがあります。
好発犬種としては柴犬、シーズー、フレンチブルドッグ、ラブラドールレトリバーなどが挙げられます。
肢端舐性皮膚炎を引き起こす原因は、多岐にわたります。
身体的要因
肥満、アレルギー、痛み、細菌や真菌感染などが挙げられます。アレルギーは特に食物や環境アレルゲンが原因となることが多いです。
心理的要因
ストレス、不安、退屈が原因で過剰に舐めることがあります。
環境的要因
温度や湿度、アレルゲン(花粉、ダニなど)が影響を与えることがあります。これらは、特に夏場に多い傾向があります。
診断は、獣医師による視診と問診を基本的に行います。
肢端舐性皮膚炎は炎症が発生している部分だけを局所的に治療するのは難しいため、全体的なアプローチが求められます。また、以下のような検査が行われることがあります。
・皮膚検査(細胞診、培養検査)
・アレルギー検査
・その他の検査(血液検査、画像診断)
両足に炎症が見られる場合は、アレルギーが疑われます。ほかにも、細菌や真菌、外部寄生虫などによる皮膚病との鑑別も重要です。
肢端舐性皮膚炎の治療方法は以下の通りです。
投薬療法
細菌感染が確認された場合、抗生物質が使用されます。治療には1か月以上の投与が必要なこともあります。抗生物質の選択は、細菌の種類や薬剤感受性検査に基づいて行われます。痒みや炎症を抑えるために、ステロイドなどの抗炎症薬が使用されます。これにより、犬が患部を舐めることや炎症の悪化を防ぎます。
局所治療
抗菌薬や抗真菌薬、消炎剤などが含まれる外用薬が使用されます。これらは患部に直接塗布し、症状を緩和しますが犬が舐めないように工夫する必要があります。細菌や真菌の感染をコントロールするために、殺菌効果や保湿効果のある薬用シャンプーが使用されます。シャンプーの選択は個々の症状に応じて行われるため、使用頻度や方法は獣医師の指示に従いましょう。
行動療法
ストレスを軽減するための飼い主様とのスキンシップや運動を増やすことで、犬のストレスを軽減し、症状の改善を図ります。また、犬が患部を舐めないようにするために、エリザベスカラーや靴下を装着することがあります。
代替療法
植物から抽出したエッセンシャルオイルを用いたアロマセラピーは犬にも利用することができ、ストレスや不安を軽減することが可能です。指圧やマッサージを通じて特定のツボを刺激し、体のエネルギーの流れを整えるアクプレッシャーなどが試されることもあります。
ツボの選定や施術の頻度については、獣医師に相談しましょう。
定期的なグルーミングとスキンケア
足の裏を清潔に保ち、定期的にトリミングに行き、指の間の毛を短くカットしましょう。
舐める行動を防ぐためのテクニック
雑草の多い場所を避け、シャワー後はしっかりと乾かすことが重要です。また、人間用のシャンプーを使うと、匂いが気になって犬がその匂いを取ろうと舐め続けてしまうことがあるため、必ず犬専用のシャンプーを使うようにしましょう。
肢端舐性皮膚炎は早期発見・早期治療が重要です。この疾患は総合的な治療アプローチが求められ、飼い主様の協力が治療の成功に欠かせません。普段から観察を怠らず、適切なケアを行うことで、愛犬の健康を守りましょう。
当院では大切な家族の一員である愛犬の健康を守るため、経験豊富な獣医師が心を込めて診察します。ご不明点などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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