犬の拡張型心筋症について|命に危険を及ぼす疾患
2024.03.05
犬の拡張型心筋症について|命に危険を及ぼす疾患
拡張型心筋症は、犬でよく見られる心臓病の一つで、心臓の筋肉が薄くなり、全身へ血液を送り出す力が弱くなってしまう犬や猫に見られる心筋症です。初期の段階では目立った症状が見られないことがあるため、飼い主様が病気に気付かないことも少なくありません。
しかし、進行すると重篤な症状を引き起こし、愛犬の命に危険を及ぼす可能性がある恐ろしい疾患です。
今回は、犬の拡張型心筋症の原因、症状、診断方法、そして治療法などを詳しくご紹介していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
拡張型心筋症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因が大きいとされています。犬では特にドーベルマンやボクサー、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬に発症が多く、年齢が高くなるにつれて発症するリスクが高まります。
さらに、ウイルス性心筋炎や、タウリンやL-カルニチンなどの栄養素の欠乏も発生に関連していると考えられています。
症状
初期の症状ではあまり目立たないことが多いですが、病気が進行すると次のような症状が見られるようになります。
・よく咳が出る
・活動性の低下
・元気や食欲の低下
・体重減少
・苦しそうに呼吸をする
重篤化すると呼吸困難に陥り、緊急で治療が必要になります。
また、心臓機能が低下することにより、不整脈が起こるケースもあります。不整脈が起こると、失神や突然死につながる恐れもあるため、気になる症状が見られる場合には、早めに動物病院を受診しましょう。
診断方法
拡張型心筋症の診断には、聴診や血液検査、レントゲン検査、心電図検査などを行います。
確定診断には心臓のエコー検査が必要であり、心臓の大きさや機能を評価します。
治療方法
拡張型心筋症は、残念ながら完治することが難しい疾患です。治療は、病気の進行を遅らせ、症状を軽減することを目的とします。
拡張型心筋症の治療では、主に強心剤や血管拡張薬、利尿剤などの投薬による内科的な治療が行われます。
さらに、心膜水や重度の胸水、腹水の貯留がある場合には、胸や腹部に針を刺して水を抜く処置や、呼吸困難の場合には酸素吸入を行うこともあります。
また、心臓の負担を減らすため、運動制限や低ナトリウム食による食事療法も効果的です。
重症の場合には、入院での管理が必要な場合もあります。
予防法やご家庭での注意点
ほとんどのケースが遺伝的な要因で発症するため、発症を完全に防ぐことはできません。そのため、定期的に健康診断を受診し、早期に発見することが大切です。特に、発症リスクが高い大型犬には、年1〜2回の健康診断を欠かさないようにしましょう。
また、愛犬に異常が見られる場合は、なるべく早めに動物病院に相談しましょう。
まとめ
拡張型心筋症は、重篤化すると愛犬の命に危険を及ぼす可能性がある疾患ですが、早期に発見して治療を行うことで進行を遅らせることができるかもしれません。
初期症状は非常にわかりにくいため、日頃から愛犬をよく観察し、定期的に健康診断を行うことで、病気の早期発見に努めましょう。
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