犬の肺高血圧症について|早期発見がなによりも大切
2024.04.10
犬の肺高血圧症について|早期発見がなによりも大切
犬の肺高血圧症とは、様々な原因によって心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が継続して高くなる状態のことを指します。
この状態に陥った場合には予後は悪く、根治もできないために余命も限られてきてしまいます。
今回は犬の肺高血圧症について、原因や治療方法について解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
肺高血圧症は、主に心室中隔欠損症、僧帽弁閉鎖不全症などの心疾患や、気管虚脱や肺炎、肺腫瘍などの呼吸器疾患が原因となり引き起こされます。
また近年では少なくなりましたが、フィラリア症によって引き起こされる場合もあります。
肺高血圧症で見られる症状には、以下のようなものがあります。
・元気消失
・食欲減退
・発咳
・運動不耐性
・チアノーゼ(舌などの粘膜が青くなること)
・呼吸困難
・失神
・胸水/腹水の貯留
これらの症状が現れ肺高血圧症となっている場合には、既に末期の状態であると言えます。
そのため、肺高血圧症になる前に食い止めることが重要です。
肺高血圧症は、主に以下の検査を組み合わせて総合的に診断します。
・聴診
心雑音や呼吸音に異常がないか確認します。
・X線検査
心臓や気管、肺などの状態を確認します。
・超音波検査
心臓や肺動脈などの状態や、胸水/腹水の有無を確認します。
肺高血圧症の治療では、まずは肺高血圧症を引き起こしている基礎疾患に対する治療を行います。
さらに、最終的には肺血管の血圧を下げるためにシルデナフィル(バイアグラ)の投与を行うことになりますが、肺高血圧症は心疾患や呼吸器疾患の末期的な状態であるため一般的に予後は悪く、多くの場合で治療を行っても余命は数日~数ヶ月であると言われています。
予防法やご家庭での注意点
肺高血圧症を予防する明確な方法は残念ながらありませんが、肺高血圧症の原因となる疾患を早期に発見し治療を行うことで、肺高血圧症を防ぐことにも繋がります。
もしも愛犬に気になる様子や症状がある場合には、早めに動物病院を受診しましょう。
また、フィラリア症から肺高血圧症が引き起こされることもあるため、毎年適切な時期にフィラリア予防を行うことも重要です。
肺高血圧症は心疾患や呼吸器疾患によって引き起こされる末期的な状態であり、さらに一度引き起こされると根治はできないため、未然に防ぐことが何よりも大切です。
当院では、僧帽弁閉鎖不全症などの持病がある場合には、2〜3か月に1回の頻度で肺高血圧症が起きていないか調べています。
愛犬に心疾患や呼吸器疾患がある場合や、何かご不安なことがある場合には、ぜひ一度当院にご相談ください。
埼玉県越谷市・吉川市・松伏町を中心に診察を行う おがわ動物病院
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