うさぎがなりやすい病気「不正咬合」について
2023.09.04
不正咬合とは、うさぎの歯が伸びすぎて噛み合わせが異常になった状態のことです。うさぎは、生涯歯が伸び続けるという特性をもっており、通常は繊維が多い草を食べることで歯がすり減り、適切な長さに保たれています。
しかし、何らかの原因で歯がすり減らず、伸び続けると命に関わることもあります。
今回は、うさぎの不正咬合について解説します。
■目次
1.不正咬合の原因
2.不正咬合の症状
3.不正咬合の診断方法
4.不正咬合の治療方法
5.予防と飼い主さんが気を付けるべき点
6.まとめ
不正咬合の原因
不正咬合の原因は、遺伝、食事内容、飼育環境、異常な咀嚼(そしゃく)癖、外傷など様々です。
遺伝的な要因として、ネザーランドドワーフやドワーフホトなどの短頭種は、不正咬合になるリスクが高くなっています。
また、ペレットや野菜に偏った食事、牧草をあまり食べないでいると、不正咬合になりやすくなります。
さらに、ケージをよく噛むうさぎも、硬い金網によって歯が歪むことがあり、切歯(前歯)の不正咬合になることがあります。
不正咬合の症状
伸びすぎた歯によって口をうまく動かせないことから、食べ物を口からこぼす、口の動きがおかしい、歯ぎしり、食欲はあるが食べる量が減るといった症状がみられます。
進行すると、伸びた歯が頬の内側にあたり痛みや出血がみられたり、痛みからよだれが出たり、よだれで顎の周りや前足が汚れたり、食欲がなくなるといった症状も現れるようになります。
また、臼歯の根元が顎の骨の方向に向かって伸び続けると、涙を通す鼻涙管や眼球が圧迫されて、涙が溢れたり、眼球が飛び出したりします。
不正咬合は、痛みなどによるストレスから食欲が落ちるため体重が減り、重症になると命に関わることもある病気です。
うさぎの歯の模式図
不正咬合の診断方法
不正咬合は、まず触診と視診で確認します。また、必要に応じてX線検査で顎の骨も含めて、口の中の状態をみることもあります。
不正咬合の治療方法
不正咬合の治療は、歯を短く削り整えたりカットしたりします。
また、感染がみられる場合には、抗生剤や抗炎症剤などを投与する、内科治療を行います。
一度かかると再発することがよくあるため、歯の調整が行われた後は、一定の間隔で状態を確認し、必要であれば歯を削る処置を受けることになります。
予防と飼い主さんが気を付けるべき点
不正咬合は、再発しやすいため、しっかり予防することが大切です。
牧草など、歯全体を使って咀嚼する必要のある食事内容にすることで、不正咬合は予防できるといわれています。
また、うさぎが食事が欲しいときや、外で遊びたいときにケージを噛んでしまう場合には、「ケージを噛んでも要求に応えてくれない」ということを学習させるため、無視するようにしてください。
まとめ
うさぎの歯の状態は、飼い主さんが確認することは難しいため、気付かないうちに悪化していることが多々あります。
そうならないためにも、定期的に受診し、うさぎの歯のケアをしてあげましょう。
また、日頃からうさぎの様子を観察し、気になることがあれば、動物病院を早めに受診することが大切です。
埼玉県越谷市・吉川市・松伏町を中心に診察を行う おがわ動物病院
048-992-2299
診療案内はこちらから