犬や猫の歯周病について│他の病気を誘発する場合も
2023.11.24
歯周病は、歯垢のなかの細菌が原因となり歯肉が腫れたり(歯肉炎)、歯を支えている歯周組織が破壊(歯周炎)されたりする疾患です。
成犬・成猫では3歳以上の約80%が歯周病にかかるとも言われています。
今回は、犬や猫の歯周病について原因から予防まで解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防
6.まとめ
原因
歯周病は日々のケアが足りずに歯垢(プラーク)が溜まることで起こります。
歯垢は食べかすから形成され、その中に存在する大量の細菌により、歯肉炎や歯周炎が引き起こされます。
また、歯に歯垢が付着した状態が続くと、次第に歯石に変わり、悪化すると歯槽骨(歯を支えている骨)がどんどん溶けてしまいます。
また、さらに重症化するとその細菌が炎症部位の粘膜の血管へ入り込み、血液を通じて歯の根尖部に細菌感染が広がります。結果的に、歯の根っこに膿が溜まる根尖膿瘍になってしまいます。
歯の模式図
症状
歯周病の初期には、口臭、よだれ、歯肉の赤みや出血などの症状が見られます。そして、歯周病の進行とともに口臭がさらに強くなったり、よだれ、歯茎の腫れや赤み、出血が酷くなったり、痛みから食べ方の異常や食欲不振も見られるようになります。
また、歯周ポケットの拡大や歯肉の後退、歯槽骨が溶けることによって、歯が動いたり、歯が抜けたり、顎の骨がもろくなります。特に、顎が小さい小型犬では、歯周病が原因となる下顎骨折を生じることもあるため注意が必要です。
また、根尖膿瘍で目の下の頬が腫れたり、膿瘍部分の皮膚が破けたり、腐敗臭を伴う膿が排出されることもあります。
診断方法
歯周病は、症状や口腔内の視診、触診により診断されます。
また、X線検査により歯槽骨の状態や、抜歯処置が必要な歯がないかも確認します。
治療方法
治療は、麻酔下でスケーリングを行い、歯の表面や隠れた歯石、歯垢、プラークの除去や、抜歯など歯科処置を行います。
ただ、麻酔をかけられないなどの状況では、抗生物質や消炎剤、鎮痛剤などを投与する内科治療で症状を軽減させる場合もあります。
予防
子犬の頃から歯を磨く習慣をつけ、日頃からデンタルケアを行うことで、歯周病を予防できます。
犬や猫の歯垢は、食後24時間もあれば形成され、さらに3日くらい経過すると歯垢は歯石に変わってしまいます。
そのため、少なくとも1日に1回は歯磨きをすることをおすすめします。
また、1年に1回は動物病院でのデンタルチェックを行い、早期発見・早期治療を心がけましょう。
まとめ
歯周病は、口の中、特に歯の問題だけではなく、他の病気を誘発する場合もあります。
口内環境を綺麗に保つように、日頃から歯磨きをはじめとしたデンタルケアや、動物病院で定期的な歯科検診などを受けるようにしましょう。
埼玉県越谷市・吉川市・松伏町を中心に診察を行う おがわ動物病院
048-992-2299
診療案内はこちらから