シニア猫に多い病気と予防方法│シニア期に飼い主が気をつけることは?
2023.09.04
シニア猫に多い病気と予防方法
最近では、猫も15〜20歳と長生きするようになりました。
それに伴い、シニア猫との生活において、病気や認知症などを患った愛猫の介護が必要になるケースも増えてきています。
今回は、シニア猫に多い病気と予防方法について解説します。
■目次
1.何歳からがシニアなのか
2.シニア猫に多い病気と対策
3.シニア猫との生活で飼い主が気をつけること
4.まとめ
何歳からがシニアなのか
猫は11歳を過ぎた頃から体の機能が衰え始めます。そのため、一般的に11歳からがシニアといわれています。
シニア猫におこる老化現象としては、毛のツヤがなくなる、顔に白い毛が生える、寝ている時間が長くなる、筋力の低下、運動量の低下、視力や聴力の低下などの症状が見られます。
シニア猫に多い病気と対策
高齢の猫によく見られる代表的な病気としては、慢性腎不全、甲状腺機能亢進症、腫瘍などがあります。
1.慢性腎不全
猫では中高齢になると徐々に腎臓の機能が低下し、慢性腎不全を患うケースが多くなります。
症状としては、多飲多尿、体重の減少、嘔吐、口臭、食欲不振、高血圧などです。
さらに重症化すると尿毒症になり、食欲が全くなくなる、激しい嘔吐、体温低下などが起こり、最終的に死に至ります。
腎臓の組織は一度壊れると元に戻らないため、慢性腎不全の治療は機能している腎臓を長持ちさせ、腎臓病の進行を緩やかにすることを目的としています。
治療としては、低蛋白・低リンの食事を与える食事療法、点滴や必要に応じて内服薬を投与する内科的療法を行います。
対策としては、なるべく病気の初期段階から食事療法を行うことで、病気の進行を遅らせることが可能です。
2.甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、8歳齢以上の猫で最もよくみられる内分泌(ホルモン)疾患で、気管の両脇にある甲状腺から、ホルモンの分泌が過剰になる病気です。
食欲があるのに体重が減少する、活動性の亢進(活発になったり、興奮しやすくなる)、嘔吐、多食、多飲多尿、高血圧などの症状がみられます。
治療には、内科的治療と外科的治療がありますが、ほとんどが甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬の投与といった内科的治療がメインになります。
対策は、定期的な検診により病気の早期発見・早期治療に努めることです。
3.乳腺腫瘍
猫にもさまざまな腫瘍がありますが、なかでも乳腺腫瘍は高齢の雌猫で一番多く、そのうちの80%が悪性です。
治療は主に外科的切除が行われます。
対策としては、初回の発情前に避妊手術を受けると、乳腺腫瘍の発生率を下げられることが分かっています。
さらに、初回発情前に避妊手術を行った場合は9%、初回発情後では14%、2回以上の発情後では89%に発情リスクを抑えられると報告されているため、避妊手術を検討してみてください。
シニア猫との生活で飼い主が気をつけること
1.急激な体重減少に気をつける
11歳になる頃から体重は減少傾向になります。急激な体重減少の裏には、糖尿病や甲状腺機能亢進症、腎不全、悪性腫瘍などの病気が隠れている可能性があるため気をつけましょう。
2.食欲増進と飲水量を増やす工夫をする
高齢になると、味覚や臭覚が変化し、口内環境の悪化により、食欲が低下することがあります。
そのような時には、ドライフードからウェットフードへの切り替えや、香りが強くなるようフードを温めてみることがおすすめです。
また、筋力の低下や関節の痛みから水飲み場に行くのが億劫になったり、水を飲む姿勢をとるのがつらくなり飲水量が低下したりします。
そのような時には、水飲み場を増やす、水の容器を台の上に置く、水分の多いウェットフードに変更するなど工夫してみましょう。
3.水を飲む量や、おしっこの量と回数の変化をチェックする
シニア猫では、およそ80%に腎臓機能の低下がみられるとの報告もあります。
腎臓の機能が低下すると、たくさん水を飲むようになり、色の薄い尿を多量にするようになります。
また、こういった症状は甲状腺機能亢進症でもみられるため、症状がみられたら早めに動物病院で受診しましょう。
4.シニア猫の行動をしっかり観察する
12歳以上の高齢の猫では、およそ74%が変形性関節症を患っているという報告があります。
爪とぎをしなくなったり、ジャンプが上手にできなくなったり、高いところから飛び降りたりしなくなった場合には、猫が関節などに痛みを感じている可能性があります。
また、グルーミングも歯の痛みや関節の痛みなど、体調がよくないと減る傾向があるので注意して観察するようにしましょう。
まとめ
シニア猫と暮らす場合、老化に備えると同時に、定期的に健診を受け、病気の早期発見・早期治療に努めることが大切です。
また、日頃から愛猫の様子をしっかり観察し、気になることがあれば早めに動物病院で受診するようにしましょう。
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